Yuichi Murata's Engineering Blog

グローバル・エンジニアリング・チームをつくる

Organization i18n - 組織を国際化する

Original post from: yuichimurata-43964.medium.com

自分のキャリアの中で一貫しているゴールは、日本の企業をグローバルに成功にさせるために貢献することである。自分はある小さなコンピュータ周辺機器の会社でキャリアをスタートさせた。その企業は国内では有名な大企業であった。だが世界的にはあまり有名とは言えない状況だった。自分が入社した当時は会社が世界に向けてビジネスを加速することに真剣になっていて、世界各国からグローバルビジネスを担う社員を雇い入れているタイミングだった。幸運なことに自分はこの機会にアメリカの子会社で働くことができた。そこで学んだのは組織を国際化することは難しいということだった。文化の壁、言語音壁、組織づくりにはじまり様々な挑戦があった。

過去10年間の自分のキャリアから学んだことは国際化された組織を一からつくることと、組織を国際化することはまったく異なるということである。グローバル企業から優秀な人を引き抜いて組織に配置しても組織が必ずしも上手く国際化しないのはこのためである。組織を国際化するにあたってよくあることだが、もっとも効果的でないのはローカルな仕事の仕方や文化を否定することである。言語の壁に文句を言い、昇進の機会が現地人に偏っていることや、会議が現地語で開催されることに不満を漏らす。確かにこれは最悪である。グローバルな組織はこうあるべきではない。だけれどもそれが現実なのである。組織を国際化しているということは、組織がまだまだローカルであることの証明なのだから。これを認めることが組織を国際化するにあたってのスタートポイントなのである。

国際化を進めている組織にはたいていふたつのコミュニティーがある。グローバルコミュニティーとローカルコミュニティーだ。グローバルコミュニティーのメンバーは色々な地域の出身からなる。会社の公用語 (たいていは英語) を話す。海外の子会社から出向しているメンバーもいる。彼らは自然とつるむようになる。言語の壁はないし、国際化が至っていない組織のなかで働く難しさを共有しているからだ。ローカルコミュニティーのメンバーは現地で採用される。中には古くから働いてビジネスを支えてきた人たちもいる。ローカルコミュニティーは少し気まずい立場でもある。彼らは現地語を話す。彼らはローカルコミュニティー内部で話すほうが楽である。だけれどもビジネスをグローバル化するために挑戦しなければならないことも分かっている。だが、これはとてもむずかしい挑戦であることもある。彼らはなれない言語をつかっていては 100% のアウトプットがだせないからである。異なる文化的背景を持つ人と働く経験が少ない人もいるだろう。そういう人たちにはついつい、ローカルコミュニティーのメンバーとつるみたくなるものである。

ローカルコミュニティーを完全否定するのはいいアイディアとは言えない。現在の会社があるのはローカルビジネスが成功しているからである。そして彼らはその主たる貢献者なのである。彼らはビジネスを知り、お客様を知り、おえらいさんも知っているし、会社の理念もよく分かっている。

世界で成功している企業にトヨタ自動車がある。トヨタ自動車カイゼンを翻訳しなかった。トヨタ自動車はその言葉と文化をそれぞれの国の言葉に訳したり、英語にして広めたりしなかった。なぜならば、それが彼らのビジネスの「本質」だったからである。彼らはこの本質的な言葉と文化をそのまま世界に広めた。だからトヨタ自動車はいまも世界で唯一の存在感を示しているのである。

我々にはこれら2つのコミュニティーを上手く掛け合わせて組織を国際化するための手段が必要である。その鍵は互いのコミュニティーの尊重にある。ローカルコミュニティーのメンバーはグローバルメンバーを可能な限り巻き込むようにする。英語を話すのが難しいのであれば、現地語で話したって構わない。だけれども会議の中で気になることがあればいつでも会議を止めてよいことを伝える必要がある。現地語で議論をしているなかに英語で割り込んだって構わないことを伝える必要がある。グローバルメンバーは逆に思い切ってローカルコミュニティに飛び込む必要がある。ローカルメンバーがグローバルコミュニティに歩み寄ってくれるのを待っていてはだめだ。なぜなら、彼らこそがどうビジネスが成り立っているのかを知っているのだから。こうしたビジネスの本質はローカルコミュニティーの内部にしかないのである。

自分はこうした環境で働く中で、いくつかのコツのようなものを学ぶことができたと思っている。今後いくつかのブログポストで書いていきたいと思う。