Yuichi Murata's Engineering Blog

グローバル・エンジニアリング・チームをつくる

DevOps カルチャーというコスト -- DevOps は QCD のトレードオフを破壊したのか?

DevOps は QCD を破壊した? 2020年デブサミの登壇発表「質とスピード」が話題に上がってから日本のソフトウェア産業で一つのパラダイムシフトが発生したと考えている。つまり、ソフトウェア産業において、従来のQCDは成り立たなくなったというものだ。その…

なぜマニュアルテストは、まずうまく行きそして失敗するのか

本日は、なぜマニュアルテストはまず上手く行きそして失敗するのか、自分の考えていることを書いてみたいと思う。 ソフトウェアテストの自動化は常識である。優れたエンジニアは自ら優れたテストを書き、その結果として優れた品質を担保し続ける。一方で、テ…

チームビルディングの新常識!好きなプログラミング言語を議論せよ

自分が議論を投げかけたのに、チームが静まり返ってしまって気まずい思いをした事はないだろうか。アフターコロナの世界になってチーム・ビルディングの形も大きく変わってきている。特に、リモート・ミーティングで上のような局面に当たる機会が増えたので…

技術負債は大きな石だと思えばうまくいく

技術負債に対する取り組みは、エンジニアリングにあたって最も活発に議論されるトピックである。この記事では、技術負債に取り組むために如何に工数を確保するかについて、自分の考えを述べたいと思う。 技術負債?とにかく新機能を実装してよ エンジニアの…

お前はクビだ!優れた技術リードが持つべきひとつの条件

今日は技術が持つべき、ひとつの条件について、自分の考えを話したいと思う。それは「ある特定の人物」をクビにする能力である。 金持ちはますます金持ちになる 資本主義社会に対する一つの批判は、金持ちがますます金持ちになることである。金持ちは自分の…

厳格なリリース管理は悪か?

皆さんの組織ではどの様にリリース管理を行っているだろうか。変更承認委員会 (Chanve Advisory Board) のような厳格なリリース承認プロセスを通して実施しているだろうか。現場の裁量でリリース計画を立て、関係者に周知すればリリースできるだろうか。それ…

なぜアーキテクトは難しいのか

ひょんなことからアーキテクト職として本格的に働くことになって、早くも1年と少しが経った。まだまだ勉強することばかりだが、一つ分かったことがある。 アーキテクトというのはやはり難しい。そして、それはアーキテクトとしての意思決定が文脈的だからで…

いまクラウドよりオンプレを学ぶべき理由

今日、ありとあらゆる企業がクラウド移行を果たし活用している。 こんな今だからこそ、オンプレ時代の知識が大事だという話をしていきたい。 問題 過去の経験から、一つ具体的な例を上げて話そうと思う。 以下のようなシステム構成において、System A から S…

キャリアは作るな

キャリアと偶然の関係 もし若手エンジニア諸君の中に自分のキャリア・プランに悩んでいる人がいるとしたら、ぜひそんな悩みなど捨ててしまうことをオススメする。 なぜなら世の中のキャリアのほとんどは「偶然」で決まってしまうからである。 ハーバード大学…

なぜ OKR は O と KR なのか? 目標設定には光と闇がある!

OKR とMBO (目標による管理) 目標による管理は多くの知識産業において広く使われている手法である。とりわけ技術産業では、OKR と呼ばれるシンプルなフレームワークが現在のベストプラクティスとして広く使われている。 アンディーグローブは OKR を彼の著書…

言語の壁を突破する!ライブ議事録コミュニケーション - Organization i18n

コミュニケーションの手段はたくさんある 我々人類は様々なコミュニケーション手段を持っている。我々は話したり効くことができる。読んで書くことができる。感情を雰囲気で伝えることができる。これらの「マルチモーダル」なコミュニケーションのとり方は極…

意図的分散チーム: 英語話者のエンジニアと連携する最高のチームワーク - Organization i18n

言語の壁の問題をどうクリアするか? 国際化をすすめるエンジニア組織では、異なる言語を話すメンバーをチームに抱えることがある。典型的な「言語の壁」問題である。現地語 (つまり日本語) の話者と英語話者がいる。多くの組織はチームを英語化を促進しよう…

インキュベーションチームで始める国際化 -- Organization i18n

国際化初日 (Day 1) 国際化を始め、初日はとても難しい。日本の様にその地域のビジネスがその国の言語に依存している場合、言語の壁があるがゆえにより大変だ。多くの従業員はビジネスやエンジニアリングのタスクを現地語でこなしている。しかし、より多くの…

効果的なリモートインタビュー -- 候補者を理解し惹きつける方法

日常としてのリモートインタビュー リモートインタビューは日常的になった。実際のところ自分もほぼ一年近く候補者と対面したことはない。はじめのうちは、リモートインタビューに慣れる必要があった。コミュニケーションは初対面だと特に難しい。ホワイトボ…

免疫になるということ -- ネットワーク時代におけるマネージャーの役割の変化

ピラミッドの時代からネットワークの時代へ 人類の長い歴史を通して、我々は組織をより大きくしたきた。我々は、組織を大きくするにつれて、より広い範囲のより複雑な問題を解決している。多くの組織は、多くの人々を連携しビジネスの目的を達成するためにピ…

生産性を最大化し時間に遅れなくなる超シンプルなアプローチ

プライベートな空間で生産性があがるタイプ 皆様リモートワークはお好きだろうか。これは人それぞれかと思う。自分はプライベートな空間のほうが集中できるタイプである。であるから、リモートワークは自分にとってタスクを遂行するには理想的な環境である。…

リモート・ファーストな今がグローバルなチームを作る格好のチャンス - Organization i18n

仕事の変化 COVID-19 のパンデミック発生後、我々の生活は変わった。人々は自宅にとどまり、なるべく通勤を避けようとするようになった。これは我々の仕事の仕方も変えた。多くの企業がリモートワークを導入した。パンデミック以前から、リモートワークは IT…

2021 年はアウトプットをする

ちょうど一年ほど前から Medium にてブログポストを書き始めた。ちょうど以下の記事をポストしたのが昨年の 1 月 1 日だった。 yuichi-murata.medium.com これは自分にとって初めての Medium での投稿であった (そして初めての英文ブログポストでもある) 。…

エンジニアリングマネージャーが知るべき 3 つの戦略

戦略思考はエンジニアリング・マネージャーの本質的スキルの一つである。あなたはあなたのチームの将軍である。あなたのチームのアウトプットはあなた次第だ。あなたの戦略スキルによって、あなたのチームのスキルを倍にも半分にもなる。 自分は今年十数冊を…

戦闘指揮官に代わる障害対応の進め方

本番障害はチームにとって最悪だ。突如としてあなたの携帯が鳴り出す。システムダッシュボードはレッドシグナルでいっぱいになる。ツイッターのタイムラインにはお客様の不満で溢れかえっている。事業責任者がチームの背後に陣取って、いまかいまかとレポー…

デスマーチを乗り越える――乱気流にも耐える翼を手にするには

デスマーチ ソフトウェアプロジェクトは戦争に似ている。たくさんの不確実性を抱えている。たくさんの予算を必要とする。ソフトウェアプロジェクトにはチームメンバーという部隊を抱えて挑み、ステークホルダーという味方 (しばしば敵対関係になることもある…

ドキュメントが無い!? TDDD があなたを救う

なんでドキュメントがないんだ ドキュメントはとても大事だ。誰だって分かっている。ではどうしてこんなにもドキュメントが不足しているのだろうか。 Photo by Annie Spratt on Unsplash エンジニアというのは本来怠け者である。仕事を片付けるための最も最…

言語の壁を壊す心理的安全性 -- Organization i18n

グローバル ≠ 英語 国際化を進める組織の一つの挑戦は言語の壁をどう壊すかだ。一般に国際化を進める組織は何に関しても英語が前提になっていると思う人は多いと思う。実際にこれは正しくない。世界を見渡してみれば、国際化が進む都市においても現地語が幅…

ソフトウェアアーキテクトの本質 — 何がアーキテクトとシニアエンジニアを分けるのか

アーキテクトとシニアエンジニア 自分が初めてアーキテクトと仕事をしたのは新卒のときの新規プロジェクトだった。プロフェッショナルとしての初めてのソフトウェア開発プロジェクトだった。そのアーキテクトはとてもシニアで、それこそ自分の父親以上に年配…

技術的ゼネラリストがますます重要になる理由

開発組織のマネジメントについて議論していると「専門性人材が活躍できる職場づくり」「専門性人材のためのキャリアパス」といったフレーズを良く耳にする。『専門性人材=技術的』という無意識の仮定をおいてしまっていないだろうか。一昔前ならこの仮定は…

言語の壁が辛い…。国際化するチームを束ねる鍵は「ロゼッタストーン」にあり ー Organization i18n

原文: Why No English? Inscribe Your Rosetta Stone to Unite the Team — Organization i18n | by Yuichi Murata | Medium ドキュメントの力 Power of Documents ドキュメントには力がある。だから皆、ドキュメンテーションを気にする。ドキュメントは劣化…

記事紹介: なぜエンジニアは時間を見積もれないのか

このお仕事をしていて難しいと感じることの一つはスケジュールバッファをどう説明するかである。納期のプレッシャーが強い職場にいると、色々な理由でバッファを削られてしまったり、そもそも見積にバッファが組み込まれていなかったりする。 どの程度バッフ…

Organization i18n - 組織を国際化する

Original post from: yuichimurata-43964.medium.com 自分のキャリアの中で一貫しているゴールは、日本の企業をグローバルに成功にさせるために貢献することである。自分はある小さなコンピュータ周辺機器の会社でキャリアをスタートさせた。その企業は国内…

エンジニアよ、プロダクトアウトになるな。マーケットインたれ

気がつけばいまの組織でもだいぶ古株 (それでも 3 年だが…) になってきて、シニアなお仕事をする機会が増えてきた。 その一つにアーキテクチャのレビューがある。様々なプロジェクトのメンバーの上げてくる、新たなアーキテクチャデザイン、技術選定の提案に…

読書レビュー: Cloud Strategy

Enterprise Integartion Pattern で知られる Gregor Hohpe 氏の最新著書 Cloud Strategy を読んだのでそのレビューを書いておく。クラウドの本質を紐解き、いままでの「エンタープライズ IT」と何が違うのかを経営的、組織設計的、かつ技術的観点から複合的…