Yuichi Murata's Engineering Blog

グローバル・エンジニアリング・チームをつくる

インキュベーションチームで始める国際化 -- Organization i18n

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国際化初日 (Day 1)

国際化を始め、初日はとても難しい。日本の様にその地域のビジネスがその国の言語に依存している場合、言語の壁があるがゆえにより大変だ。多くの従業員はビジネスやエンジニアリングのタスクを現地語でこなしている。しかし、より多くの才能ある従業員を世界から集めるには、英語を主軸とした国際化が必要になってくる。

今日のビジネスを回している現地組織のメンバーと以下に両立していくことができるだろうか。

インキュベーションチーム

自分の十年間の勤務経験から、これを達成するためには「インキュベーションチーム」が鍵になると確信している。

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インキュベーションチームとは、ローカルな組織の中に独立したインターナショナルチームを作るというものである。インキュベーションチームは独自の仕事の領域とミッションを持ち、完全に国際化されたチームとして働く。人々は英語などの言語を話す。現地語を話す必要はない。こうすることで、ローカルな組織を無理に捻じ曲げず、世界中からより多くの才能ある従業員を集めることができる。

インキュベーションチームの存在は、ローカルチームのメンバーにもいい経験をもたらす。それぞれのチームが働く中で、ローカルチームのメンバーはインキュベーションチームのメンバーと話す必要が出てくる。プールに入るとに急に飛び込むよりも、ゆっくり準備を整えて入水したほうがショックが少なくて済む。インキュベーションチームとの会話はまさしくプールに入る前の準備体操となりうる。

外交官を配置する

インキュベーションチームの成功の鍵は良い「外交官」を配置することだ。外交官はたいていマルチリンガルな人材でローカル組織から選ばれる。

外交官の役割は 2 つの異なるチームをつなぐことだ。インキュベーションチームはしばしば、ローカル組織のメンバーの助けを必要とする。 外交官は2つのチームから人々をつなげ、一緒に仕事をするように促す。

もしあなたがインキュベーションチームを組織しているなら、あなた自身が外交官になれるのが一番望ましい。もしあなたがその役割をできないのであれば、外交官の選出は注意深く行う必要がある。外交官はお互いの言語だけではなく、文化も理解する必要がある。これらのチームは物事の文脈や異なる文化的背景によって衝突が起こりやすい。外交官の役割はこうした衝突を解決することだ。社交性のある人材を見つけることができれば、こうした問題をよりかんたんに解決することができるだろう。

外交官はどちらの方向に選出しても構わない。外国から来た人の中には現地語を理解して、ローカル組織側に入っていくことができる外交官となれるものもいるだろう。しかし、基本的にはローカルチームからインキュベーションチームに外交官を選出するほうが良い。ローカルチームから派遣される外交官はすでに様々な人との関係値や会社のカルチャーに対する理解、特定のビジネス知識といった「資産」を積み上げているからだ。

課題と解決策

インキュベーションチームの課題は組織の分裂にある。異なる言語を使っていると、同じ考え方を組織に浸透させることは難しくなる。 インキュベーションチームは情報や指示がなかなか下りてこないことに文句をいい、ローカルチームはインキュベーションチームがビジネスの背景や会社の文化を理解してくれないと嘆くだろう。その結果、この2つのチームは衝突を起こしがちになる。

この問題を和らげるためには、やはり外交官の存在が鍵となる。自分の過去の経験で、インキュベーションチームがローカルメンバーの支援を得られず進捗を作れないと不満をいだいている局面があった。ある日、英語が達者で各方面にコネのある同僚が入ってきて議論に参加すると、たちどころに衝突が解消してしまった。彼女はインキュベーションチームが持つアイディアを理解し、ローカルチームのメンバーに適切に翻訳した。彼女はまた、彼女の持つ関係値を活用して、ローカルチームのサポートを求めた。この話の様に外交官は2つのチームがより良く仕事をするに当たって決定的な役割をもつのである。

幼児がずっと保育器の中にはいっていられないように、インキュベーションチームの仕組みはチームが大きくになるにつれて変えていかなければならない。次回は、インキュベーションチームから次のステップへの移行について別の記事で語りたいと思う。

原文:

yuichi-murata.medium.com