Yuichi Murata's Engineering Blog

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意図的分散チーム: 英語話者のエンジニアと連携する最高のチームワーク - Organization i18n

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言語の壁の問題をどうクリアするか?

国際化をすすめるエンジニア組織では、異なる言語を話すメンバーをチームに抱えることがある。典型的な「言語の壁」問題である。現地語 (つまり日本語) の話者と英語話者がいる。多くの組織はチームを英語化を促進しようと試みるがこれには時間がかかる。この変化をスムーズに、かつ現在機能しているチームの効率を下げずに実施するためにはどうしたら良いだろうか。

意図的分散チーム

Mike Cohn は Succeeding with Agile にて面白いアイディアを述べている。意図的分散チームだ。

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意図的分散チームはチームメンバーを二つの異なる拠点から選んで混成するものだ。図でわかる通り、二人のメンバーがフランスから選ばれた、残りの二人が米国から選ばれている。Mike は意図的分散チームはそれぞれのチームに透明性をもたらすと述べている。例えばどちらのチームも、一方の拠点にしかいないスクラムマスター、プロダクトオーナー、ステークホルダーといった人物に平等にアプローチできる。シビアな時差があったとしても平気だ。

筆者はここで、全く同じコンセプトが地理だけではなくて、言語の場合にも適用できることに気がついた。

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意図的・言語分散チームは日本語話者と英語話者を選んで一つのチームを作る。このアプローチの良いところは、オリジナル版と同じくそれぞれのチームに透明性をもたらすことである。スクラムマスター、プロダクトオーナー、そしてステークホルダーは片方の言語しか話せないかもしれない。大抵は日本語しか話せないケースだ。どちらのチームも、これらの関係者に言語の問題を最小化してアクセスできる。

もう一つ、ユニークな利点として国際化を促進する効果が期待できる。他の言語話者がチームに存在することは、お互いの学習経験となる。日本語話者は英語を勉強する機会を得られるし、英語話者は日本語の学びを通じて文化を知ることができる。

いつ導入すべきか?

欠点もある。異なる言語話者をチームに組み込むことは、少なくとも最初はチーム内部の能率を下げるだろう。これを避けるには、十分な関係値と最低限の語学力が事前に形成されていなければならない。

筆者の経験からアドバイスすると、まずはインキュベーションチームから始めた方がよい。インキュベーションチームを通じて基礎ができたら少しずつ意図的分散チームへとシフトしていくのだ。これはロケットのようなものだ。まず第一ブースターで十分に加速してから二段目に移る。一段目で十分に加速していれば、大気圏から離脱するための二段目の燃料はあまり要らない。注意深くまずはインキュベーションチームから初めで、ここぞというタイミングでロケットを切り替えるのである。

原文:

yuichi-murata.medium.com

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